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米国の酪農業

米国の酪農業高温で乾燥し、広く開けた西部の土地から、季節により気温が大きく変動する中西部と北東部の肥沃な牧草地、そして南東部の高温多湿な小作地まで。広大で多彩な地形と変化に富んだ気候に支えられ、米国では年間通して生乳が生産されています。それぞれの地域の酪農家は、地理的な強みと家畜の群れの管理能力とを駆使して、年中無休で生乳を生産しています。これが、季節により生産量にばらつきのある他の生産国との大きな違いです。

実際に、米国は単一の生産国としては世界最大の牛乳の生産国で、2014 年の生産量は 9,340 万トンでした。これは、ニュージーランドとオーストラリアを合わせた生産量の 3 倍にあたります。米国の牛乳生産量は、全米 50 州にわたる 5 万戸の酪農家で飼育される 930 万頭の乳牛によるもので、2014 年の生産量の半分以上は、生産量で上位 5 州のカリフォルニア州、ウィスコンシン州、アイダホ州、ニューヨーク州、ペンシルベニア州で生産されたものです。(出典:USDA)

健康的な米国産の牛乳は、豊富で栄養価の高い飼料から

場所や群れの規模にかかわらず、米国の酪農家なら知っていることがあります。それは、常に栄養価の高い飼料を与えられた、手入れの行き届いた健康な乳牛は、健康的で高品質な牛乳を生産する、ということです。米国の酪農家は、乳牛の栄養要件を満たす適切な飼料成分の配合を把握するため、動物栄養士や獣医と密接に連携しています。乳牛の飼料は通常、干草 (アルファルファ、牧草など)、穀類 (トウモロコシ、小麦、大麦など)、タンパク源 (大豆、キャノーラなど) に加え、ビタミンとミネラルのサプリメントが配合されています。  

健康に配慮して厳密に計画された飼料と、乳牛の消化器官の強力な消化能力によって飼料栄養素が最大限に吸収され、年間を通して健康的で高品質な牛乳を生産します。飼料の品質と栄養成分が季節によって変化するのを最低限に抑えていることが、牛乳の安定供給を支えています。これは、世界の他の地域でよく見られる、草を食べる乳牛に特有の、摂取量の周期的な変化と対照的です。   

乳牛が快適であることが、米国の酪農家にとっての最優先事項 

米国の酪農家の大部分は家族経営です。何世代にもわたって培われた経験から、酪農家は牛たちがよく育つために必要なものに精通しています。乳牛が過ごす環境面では、米国式の家畜小屋は、風や湿気などの気象条件から乳牛を保護するように作られています。シーリングファンが設置され、夏の暑い時期には家畜小屋の中で水を噴出して乳牛を冷やします。乳牛の休息時間も、牛乳の生産量に直接影響します。米国の酪農家では砂の牛床をよく使用します。最近では、牛床用ウォーター ベッドも使用され、最適な休息時間で体力を回復できるようにしています。  

米国の酪農家は一年中、乳牛が快適に過ごせるように働きます。乳牛の手入れが行き届くと、それを反映して牛乳の生産量が増加します。実際に、米国では現在、乳牛 1 頭あたりの年平均搾乳量は 1 万 100 Kg ですが、これは米国の 1970 年の平均、4,400 Kg (乳牛 1 頭あたり) の 2 倍以上です。これに対し、現在、欧州連合の乳牛 1 頭あたりの年平均搾乳量は約 6,200 Kg、オーストラリアで 5,700 Kg、ニュージーランドでは 4,300 Kg になります。(出典:USDA)